こんにちは、アカナレッジです。
前回の投稿は、「第2章:全体トレンド〈日経平均と市場の波〉」という題目でした。
株で利益を得るためには、市場全体の波であるトレンドを把握しておくことは非常に重要である、としました。その上で、テクニカル指標(移動平均線、RSI、MACD、ボリンジャーバンド)を適用して株価のトレンドを類推することを試みました。
今回は、「第3章:銘柄選び」です。
日経平均がトレンドを持つように、それぞれの個別銘柄も独自のトレンドを有しています。
株取引の基本原則である、「安値で買い・高値で売る」をより正確に言えば、『市場が下降トレンドを脱する時に安値で買い、上昇トレンドが終わる前に高値で売る』です。つまり、市場と個別銘柄の両方でトレンドの転換点を捉えることが肝心です。分析手法を適用することで、リスクを回避しやすい期待できる銘柄選びを試みます。
と言うものの、市場が予想通りに動くとも限りません。個別銘柄も同様です。
そして、テクニカル分析をしても完璧にトレンドの転換点を決められるわけではありません。
実際のところ、「下降トレンドを脱しそうだから買おう」「上昇トレンドが終わりそうだから売ろう」という気持ち的な判断も大きいです。
それでも分析に基づいて厳選する理由は、リスクを回避できる可能性が高くなるためです。
※当ブログは特定の投資助言のように個別銘柄の購入を勧めるものではありません。
※手法の解説がメインであるため、個別の銘柄にはモザイクをかけます。
『堅実スイング投資』では、トレンドに逆らわず、基本に忠実に「安値(底値)をつけている銘柄」を探すことを重視します。
また、株価が大きく下げた直後に飛びつくのではなく、チャートの形やテクニカル指標を組み合わせて「トレンドが反発する転換点」を慎重に確認していきます。
ここから先は、
- ランキングを起点に銘柄をピックアップ
- チャートでトレンドをスクリーニング(~10秒)
この時点で、中長期的に週足・月足が下降トレンドにある銘柄はスルーします。時間をかけずに切り捨てるのがコツです。 - テクニカル分析で詳細チェック(~30秒)
移動平均線、MACD、RSIといったテクニカル指標を見て、底値サインが出ているかを確認します。 - 需給分析で売買傾向をチェック(~10秒)
板情報を見て、買い注文が厚いか or 売りが優勢かを確認し、最終判断に使う。 - 買い or スルーの判断
条件を満たさない銘柄は、惜しまずスルー。
条件を満たす銘柄は、お気に入りに登録して候補リストに加えます。
という流れで、リスクを最小限に絞る銘柄に文字通り絞り込んでいきます。
実際に作業していきましょう。
1.ランキングを起点に銘柄をピックアップ
毎度おなじみ、楽天証券アプリ「iSPEED」の登場です。
アプリの「検索」タブからは、値上がり率・値下がり率・出来高など、さまざまなランキングや条件で銘柄をチェックすることができます。
株価を下げている銘柄を探すので、今回は「値下がり率」で抽出してみます。


2.チャートでトレンドをスクリーニング(~10秒)
ある銘柄をタップして、日足・週足・月足の外観をチラ見します。

下がり率でランキングに乗るほどですから、青色の陰線が目立ちます。
最近のローソク足が日足・週足・月足すべてで陰線が確認でき、週足・月足の中長期は右肩上がりの上昇トレンドにあるため、スクリーニングの条件を満たしていると言えます。
より詳細に把握するため、テクニカル分析に進んでみましょう。
3.テクニカル分析で詳細チェック(~30秒)
先の銘柄について、実際に週足・月足チャートを確認します。


週足チャートの分析
- 上昇トレンドからここ数週間で急降下が続いています。
- ボリンジャーバンドの中央線(移動平均線)が下値を支える気配もありつつ
- RSIは50付近、MACDは青陰線の1本目が出ています
➡ 中期的には引き続き下げる可能性がありますが、ある程度は買い時に近い局面 と言えます。
月足チャートの分析
- ここ数年は下降トレンドでしたが、今年から上昇トレンドに入りました。
- ボリンジャーバンドの+3σで上げ止まり、急落した直後です。
- RSIとMACDにはまだ下げが反映されていません。
➡ 長期的には 急に上昇する可能性は考えにくく、底値に入り安値で膠着する可能性が懸念されます。
一時的な急落には、政治的な問題や企業の不祥事 といった外部要因が影響している場合があります。たとえチャート上で急落が見られても、背景を確認せずに飛びつくのは危険 です。
ニュースやIR情報をチェックすることで、急落が一時的なものか、長期的なリスクか を判断できます。手間はかかりますが、ファンダメンタル的な視点も忘れずに 投資判断を行うことが重要です。
4.需給分析で売買傾向をチェック(~10秒)
続いて、板情報を見てみましょう。

今回の銘柄を見ると、OVERが27,000、UNDERが8,600 となっており、売りたい人が多く、買いたい人が少ない状況です。
- つまり 上値が重く、売り圧力が高いため短期的には株価が下がりやすい と言えます。
- これは先に見た日足チャートの短期的下げの兆候とも一致しています。
なお、銘柄の規模によって板の厚さは変わります。
- 東証プライムの大型株(日経225銘柄など)なら、売り板・買い板ともに 数十万~数百万株 ということも珍しくありません。
- 一方で中小型株や出来高が少ない銘柄は、数千~数万株 しかないこともあります。
今回の銘柄は、OVERやUNDERの合計が少ないことから、
「指値注文そのものが少なく、出来高が薄い → 取引参加者が少ない」という状況と読み取れます。
ここまで分析してみて、気になる銘柄・ピンときた銘柄 があれば、まずは お気に入り登録 しておきましょう。時間を置いて改めてチャートを確認すると、最初とは違う視点で気づくこと があるかもしれません。
例えば、短期の板状況が変化していたり、中長期のトレンドラインの形が少しずつ整っていったり。こうした 小さな変化に気づくために、お気に入り登録は有効です。
5.買い or スルーの判断
日常的にチャートや板を確認し、条件が整ったと感じたタイミングで 買いの判断 を行いましょう。
例えば、
- 週足・月足の上昇トレンド に乗ってきた
- 日足で底値サイン が出ている
- 板情報で買い圧力が発生した
などです。これらの条件がそろったときが、短期的に見ても比較的安全にエントリーできるタイミングです。逆に、条件を満たしていなければ 焦らずスルー することが堅実投資の基本です。
🔷堅実スイング投資の姿勢
短い時間で効率よく購入まで踏み切りたいところですが、結論、「条件に合う銘柄を堅実に探す」&「買い時のタイミングを待つ」姿勢が欠かせません。
もし安易に銘柄を買ってしまい、その後に損失が出るとどうなるでしょうか?
⇒ 売れずに「塩漬け」状態になり、株価が戻るまで何カ月も待たされるかもしれません。これは、1つの銘柄を1〜2時間かけてじっくり選ぶことに比べれば、 はるかに大きな時間ロスであり、なによりお金のロス です。
目先の効率よりも「堅実に条件を満たす銘柄を探す」ことが、長期的にはもっとも効率的なのです。堅実スイング投資ですから。
🔷妥協しない一方で、即決も大切
一方で、もし条件にしっかり適っている銘柄を見つけたなら、 数秒で即決しても構いません。なぜなら、本当に美味しい銘柄は、すぐに買いが集中して株価が動き出す可能性があるからです。
大切なのは、「焦って妥協すること」ではなく、あくまで 自分の基準に適う銘柄を見つけたときに、ためらわず行動すること です。
このバランス感覚こそが、堅実なスイング投資の鍵になります。
ーおわりに
ここまでご覧いただきありがとうございます。
今回は、銘柄選びにテクニカル分析と需給分析を適用する、実践的な内容でした。
連日の連載でさすがにねむいです。
当サイトや X(旧Twitter)にて皆様からの感想・コメントを頂けると励みになります。
次回は、第4章:買いの判断〈分散投資〉の予定です。
具体例とともに解説していきますので、お楽しみに。。





